鳥にサプリメントは不要

2024年02月13日 00時00分

「鳥にサプリメントは不要」の画像

サプリメントについての記事を書きました。

これまで実は、サプリメントに関するご質問をいただく機会がとても多くありました。
その都度、個別にお返事をしておりましたが、今回あらためて記事としてまとめることにいたしました。

アメリカは「サプリメント大国」と呼ばれるほど、さまざまなサプリメントが販売されています。

まず、これまでにいただいた主なご質問は次のようなものです。

・おすすめのサプリメントを教えてください
・ペレットを与えていればサプリメントは不要ですよね?
・シード食の場合は、必ずサプリメントが必要ですか?
・サプリメントは毎日与えるべきでしょうか?
・飲み水に混ぜる方法と、餌に振りかける方法ではどちらが良いですか?

このように、さまざまなご質問をいただきました。これらの質問にまとめてお答えすると、結論は次の通りです。

Parrots Don’t Need Supplements.
(飼育下の鳥にサプリメントは必要ありません)

Supplements will not fix avian malnutrition.
(サプリメントは鳥の栄養失調を解決するものではありません)


筆者自身も、初めてこの内容を知ったときには驚きました。もちろん、獣医師から特別な理由により指示された場合は例外です。その場合は、必ず獣医師の指示に従ってください。

しかし、

「シード食だから」
「サプリメントなら体に良さそうだから」
「健康になってほしいから」
「評判が良いから」

といった理由で、自己判断によりサプリメントを与えることは推奨されていません。

なお、今回の記事も、生物学者、鳥類栄養学の専門家、バードトレーナーなどの文献を翻訳してまとめたものです。
鳥の食事や栄養に関しては、獣医学とは別の専門分野として研究されているため、本記事では主にそれらの専門家の文献を参考にしています。

 

 

サプリメントを推奨しない理由

① 鳥の体はサプリメントを効率よく吸収する構造ではない

「鳥のために作られたサプリメント」や「鳥に安全」と説明されている製品もありますが、もともと自然界で暮らしていた鳥の体は、人間が作った合成ビタミンを効率よく吸収する仕組みを持っていません。そのため、多くの場合は体内で利用されず、糞や尿として排出されると考えられています。これに関しては配信中のセミナーで何度か解説しているので動画をご覧ください。
 

② 栄養は日々の食材から摂ることが基本

栄養は、ホールフードから摂取することが推奨されています。

ホールフードとは、野菜、フルーツ、シード、ナッツ、スプラウト、ハーブなど、野生の鳥が自然環境で食べているような食材のことです。

研究でも、サプリメントから得られる栄養よりも、ホールフードの食事から得られる栄養の方が価値が高いことが示されています。
(前述の通り、鳥は人工的な栄養素を効率よく吸収できる体の構造を持っていないためです)


毎日同じペレットや同じシード、小松菜や豆苗ばかりを繰り返し与えるのではなく、日々さまざまな食材を取り入れた食事を与えることで、食事からバランスよく栄養を摂ることができます。そのような食事が実現できれば、サプリメントは必要ありません。

 

必要な栄養素は食事から摂取するべきであるという考え方は、近年多くの専門家や飼い主から支持されるようになり、欧米では鳥の食事に対する考え方も少しずつ変化してきています。

Science-based background has taught me that when fed the proper balance of nutritious foods, parrots don’t need nutritional parrot supplements.
(訳)科学的な研究や知見から、栄養価の高い食品を適切なバランスで与えることができれば、鳥にサプリメントは必要ないことが分かりました。

また、世界60か国で販売されている Parrot Magazine に掲載されているコラム The Holistic Parrot を執筆しているAvian Nutritionist(直訳で鳥類栄養士)のLeslie Moranは、「鳥にビタミンサプリメントを与える必要はまったく無い、むしろ鳥に害を及ぼす可能性がある」と述べています。

以下は、そのコラムの一部抜粋です。

「栄養障害は、栄養素の不足または過剰摂取によって引き起こされます。サプリメントを使用している場合、ビタミンなどの過剰摂取が懸念されます。ビタミンAとビタミンD3は脂溶性ビタミンであり、脂肪に溶けて体内に蓄積されます。そのため過剰摂取をした場合、ビタミン過剰症を引き起こす可能性があります。一方、ビタミンCは水溶性ビタミンであるため体内に蓄積されることはなく、過剰な分は体外へ排泄されます。」

アメリカのバードトレーナー Bird Tricks も、次のように述べています。

「ビタミンAなどの脂溶性ビタミンを過剰に摂取すると肝臓に蓄積され、最終的に機能不全を引き起こす可能性があります。また、ビタミンDの過剰摂取は腎臓に悪影響を及ぼすことがあります。特に、Eclectus(オオハナインコ)やGalah(モモイロインコ)はビタミン過剰症になりやすいとされています。」

欧米では、数十年ほど前から鳥に対するサプリメント使用に懐疑的な意見が存在していたようです。
以前からあった情報や文献も、SNSの普及やコロナ禍によるペットブームをきっかけに、より多くの人の目に触れるようになり、再び共有される機会が増えたように感じます。
当店も、その情報発信の一部を担っている立場です。

このような背景を踏まえ、当店でもサプリメントについて様々な資料を調べましたが、サプリメントを積極的に与えることのメリットについて納得できる根拠を見つけることができませんでした。
そのため、当店としては加工されているサプリメントの使用を推奨しないという考えに至り、本記事もやや反対寄りの内容となっています。現在、ホールフードのサプリメントしか取り扱っていないのもそのためです。

もちろん、どの分野でもそうですが、必ず賛成派と反対派が存在します。
メリットを重視する人、デメリットを重視する人、あるいは販売の立場から意見を発信する人など、それぞれの立場によって考え方は異なります。

サプリメントの使用に肯定的な飼い主や獣医師も多いと思いますが、この記事を読んで「なるほど」と感じる方もいれば、「そういう考え方もあるのか」と思う方もいるでしょう。あくまで一つの情報として参考にしていただければ幸いです。

鳥の健康を思って与えているサプリメントが、実は鳥の体に負担をかけている可能性もあります。
「本当にこのサプリメントは必要なのだろうか?愛鳥の鳥種に安全なのだろうか?」と、一度立ち止まって原材料や成分を確認してみることも大切ではないでしょうか。

今回も長い記事となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。



参考

Dr. Jason J. Crean, MS Bio, EdD
Birdtricks
Patty Jourgensen


 

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